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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第14章 確かな愛

ゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえそうになった途端、司会進行の方が空気を読み、質問コーナーへと会見は移った。あぁ、私って愛されてるんだ。
あそこまでー・・言ってくれるなんて。
もしかしたら、彼があの態度や口の利き方を叩かれるかもしれない。だけど、そのリスクを犯してまで、私に被害が及ばない様にしっかりと、"カマをかけてくれた"。
「はい、では、一番の方からどうぞ。」
「東青新聞の記者の者です。えっとー・・馴れ初めとかはどの様なものだったんでしょうか?」
先ほどの光に完全に圧倒されている。気が弱そうな記者の人が、さらに気弱になっていた。
「馴れ初めー・・。友人とよく行く飲食店で、たまたま隣に座ってたっていう感じですかね。」
「どちらから声をかけたんでしょうか?」
「はじめは・・まぁ、喧嘩をして。僕の友人と、妻が。」
"妻"ハッキリと言ってくれた、その言葉ー・・。
なんだか、胸がキュンキュンしてしまう。
「で、それを見ていただけだったんですけど・・ってあぁ、面倒臭い。名前出すわ。響と妻が喧嘩をして、それを謝りにいった蓮と彼女が仲良くなってー・・そこからの紹介ってな感じです。」
あちゃぁ~。思わず心の声が出る。
面倒臭い気持ちは分かるけどー・・名前出してよかったの?あそこの事務所の圧力とかー・・。
そんな私の心配を察してくれたのだろう。
もう既に何度かお見かけしている彼のマネージャーさんから"大丈夫だよ。あれくらいならお互いのイメージにも傷がはいらないから、名前だしても問題ない"と呟かれる。
「なるほどー・・。あ、ありがとうございます!」
「いいえ。次は?」
天使の様な仮面も持っているけれど、
悪魔の様な仮面も持っているー・・。
この素っ気ない態度・・。それなのに、みんな口をそろえて彼の事を良い人という理由がわからなかった。
でも、今ならハッキリとわかる。

