この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第15章 命の重み
柳沢と出会ったころを思い出した。
九月九日。この子が生まれた日。そしてー・・私が彼と出会って、人生を大きく変えてもらった月だ。
大昔、江戸時代に重陽の節句に雛人形を再び飾るという風習があった。旧暦では、菊の花が咲く季節であることをふまえ、“菊の節句”とも言われている。
つい先日、大きなお腹を抱えながら立ち寄ったコンビニでは、もう店員さんが日本代表のユニフォームを着ていた。来年の6月に開催されるらしい。選手達からしてみれば、半年と少ししかないので、もう言ってる間かもしれないが私からしてみれば、まだまだある。
それなのにユニフォームとは・・・どれだけサッカー協会が、今回のワールドカップに思い入れをしてるのか、ハッキリと分かった。
4月に、正式に前会長が辞任し、新しい人が会長の座についた日本サッカー協会。
浜田学さんというおじいさんだ。光いわく、頭がキレて、あまり怒らない人。
遥くんに似ているらしい。性格が。
そして・・・彼自身も、プレミアムリーグが待っている。
9月の1日に、初戦が行われた。
ブエノス対、ウルアイホンドウ。
あまり有名なチームじゃなかったらしく、6-0の快勝を飾ったとニュースで見た。
ワールドカップに、リーグ。
そしてーー・・彼に限っては“私の出産”
紫音は、1歳5ヶ月なのに、日本からイギリスまでの長い飛行を体験した。親馬鹿な光はわざわざプライベートジェットを手配して、あちらに向かい、そして、今日、日本に帰ってくる。
2戦目でも、がんばった末に勝利を収めたブエノス。
やっぱり紫音が、間近で見ているという点が彼にとっては最大の原動力になるのか・・。
だけど、ハンソンのアーセも調子はすこぶる良い。
2戦とも、延長には持ち込まず、2点差をつけて勝利していた。
ブリトニーから勝利の報告を書いたお手紙と、出産祝いのベビー服を沢山もらった記憶がまだ新しい。
一人でのはじめての出産は凄く怖かった。
というかー・・痛みで気を失いそうになった。
だけど、心の中には、支えてくれる人が沢山いる真実。