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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第15章 命の重み
蓮にも、会見の少し前にすべてを話していたらしい。心の整理がつかないからという理由で、しばらくの間は私たちの前に現れてくれなかったけど、ここ二ヶ月の間で落ち着いたのか、遥くんと一緒に来ては、冗談を言って場をなごませ帰っていく。
ーー・・正直、三ヶ月前から入院と聞いた時は、反対しまくったわよ。だって家の方が居心地良いし、特別身体も悪くないのに、入院する意味がわからなかったもの。
イギリスに帰って私が一人になるということが、それほどまでに心残りで、心配でたまらなかったのか?彼は身内に対しては本当に過保護だし強情。私が泣く泣く折れて、言われた通りこの病院に、子供が産まれるまで入院することになった。
だけどさー、正解だね。退屈だった期間もあるけれど、周りの人に支えてもらっているということを強く実感できた瞬間だった。お医者さんや、看護婦さんは、理由を知っているからか、笑っていた。合間合間に世間話をしに私の部屋に居てたくらいだもん。
蓮が、足を運ぶ様になってくれたキッカケも家ではなく病院という場だったからかもしれない。ーー・・すべてを癒し、全ての悩みがちっぽけだと思える"特別な場所"、
新しい命が誕生して、
尊い命が亡くなる場所なのだ。
「貴方の判断は間違っていなかったわ。試合後の。それからの光と貴方、本当に幸せそうだった。試合に負けちゃったのはすごく悔しいけれど、貴方達は人生という名の初戦に勝ったんだもの。いまごろ、勝ち点がすごいことになってたりして」
「はは!そうかな。ハンソンも全てを円満に終わらせてくれたし。光だけじゃない。シャキーラ、貴方の愛が私を助けてくれたのよ。」
「やだ、気持ち悪い。そんな事言わないでくれる?」
「本当の事だもーんっ!」