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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第2章 可愛いと五月蝿いは紙一重
「あそこのコインパーキングとめる?」
「そうやね~。そうしてくれたら嬉しい」
「決定。」と言いながら素早く駐車場に車をとめてくれる彼。明らかに私より上手い。なんか、無駄が無いというかー・・。
「よし、ほんまにありがとうね。疲れてるやろうに運転してもらって。」
「いや、全然大丈夫だよ。俺こそ、このジャージとか飯とかありがとう」
慣れない程可愛らしい笑顔で、そう言われて
赤面しそうになった時。運転席の窓ガラスが叩かれた。
ーー・・コンコン。
「あ?」
一段と低いトーンで、窓をあけながら威嚇する俳優・美山蓮。当たり前か、こんな所で声かけられたり写真撮られたらたまったもんじゃない。
「そんな怒んないでくれる?」
どこか聞き覚えのある声と
優しそうな口調ー・・これってー・・
「遥!おめぇも撮影?!」
「ばーか、俺達の番組だろうが」
「そっか。」
「それより車変えたの?」
「違う。この子の。」
ーー・・ビクッ!
となりそうなのを必死に抑える。
蓮くんの事は深く知らないけど、俳優って事は本当だし見ていても話していても分かる通り、多分それなりに・・いや、かなり人気なんだろう。
そんな人と、
誰もが認める国民的アイドルの遥くんー・・。
この二人が目の前にいて、ひるまない一般人は居るの?特別な感情などは無いけれど、感じるモノやオーラが私とは違い過ぎて、何だか居心地が良くはない。
「あ、昨日の。」
「おはようございます。昨日は色々とご迷惑おかけ致しましてすみません。」
「いいえ、気にしないで下さい。こちらこそ、アイツがグラス投げちゃってー・・。」
「あ~騒ぎ立てる程の事でもないですし、もう跡形もありませんよ。気にせんで下さい。」
「へ~関西弁可愛いね。そんなにドギつくないし。」
「だろ~?それより、響と柳沢は?」
「昨日結局、響は4時近くまで呑んでたみたいだよ。あながち光が家まで帰したんじゃない?だから、一緒に来る可能性高い。」
「なんだよ、あいつら。キモチワリー。」
「そんな事より、昨日のデートのお相手とは?」
意地悪そうな微笑みを私に向けてくる遥くん。テレビでも、こういうキャラだから吃驚はしない。多分もともと、人をイジッたりするのが好きな根っからのSなんだろう。