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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第15章 命の重み
話題が尽きる事なく、喋っていた時。
病室近くから聞きなれた男の子の声がした。
ー・・と同時に、病室のドアが派手に開く。
シャキーラの登場の仕方とそっくりだ。違いは、ノックがあるのと、ないのだろう。
「ママぁー!」
「紫音っ!」
「おいこら、抱きつくんじゃねぇよ。
ママしんどいだろ。あ、シャキーラ。」
「へい、久しぶり。試合見てるわよ。」
「まじで?ってか、わざわざ来てくれたんだな。ありがとう。」
「気にしないで。あ、紫音のケーキもあるの。勿論、光。あなたのも。食べるでしょ?」
「うん!食べるー!」
子供は飲み込みが早い。はじめて、ちゃんとした文を喋ったのも英語だったけど、光と向こうに行ってから前よりも、発音がネイティブに近くなっている。凄いなぁ。
「シャキーラ、三秒だけ紫音の目、ふさいどいて。」
「了解。」
"シャキーラ、何するのー!"無邪気な声が聞こえる。シャキーラも何故か目を瞑っていた。
お互いの表情がわかるのは、私たち二人だけ。
「腰は?」
「余裕だ。この前の試合はフルで出場した。」
「そうー・・。」
ギュッと強く抱き締められる。三ヶ月前までは、毎日抱き締めてもらってたし、イケナイ事に時々、愛してもらった後に裸で抱き締めあったこともある。
だけどー・・あぁ、私は本当に彼なしじゃ、もう生きれないんだ、たった三ヶ月なのに、この空白の期間が三十年の様に思えた。
「小百合、お疲れさん。
よく頑張ったなーー・・。」
電話で聞いていた、日本語。
だけど、いつもより丁寧で、優しい。
「愛してるよ。
I love you 」
「光ー・・っ。」
涙が出そうで、震えている肩に手をおき、小さく開いている私の唇と彼の薄い唇が静かに一度だけ重なった。
触れるだけの、柔らかいキス。
「これからも、よろしく。」
「あぁ、宜しく。」
「いいかしら?!」
「ふふっ。ごめんね、シャキーラ。もう大丈夫よ。」
「うわぁ!パパぁ。もうっ!」
「ごめんな、紫音。
ほら、シャキーラが買ってきてくれたんだ。一緒に食べような。」
「うんっ!」