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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第16章 決戦の舞台
両キャプテンがガッチリと握手を交わして、ボールがどちらに付くかが決まった瞬間ー・・サポーターのボルテージは一気に急上昇した。
私達の周りは、選手の家族の方や芸能関係の方が多いのだろう。そこまではしゃいではいないけど、後ろ数列からは、もう悲鳴に近い声が上がっている。
紫音も負けじと、シャキーラと一緒になってはしゃいでいるけど、千代菊は煩くないだろうか?こんな場面でも心配なのは、彼女の耳のことだ。本当に鼓膜が破れても可笑しくないわよねー・・。ブランケットを彼女の頭にかぶせて、耳を塞ぐ。少しでもマシになれば良いけれど。
ふと、コートに目を向けた。
どうやら先に攻めるのは日本らしい。
光と岸野くんへの削りが凄すぎて中々攻撃が仕掛けられる場面ではないのは見ていてわかった。
でも、まだ試合開始一分も経ってないもの。
ゆっくりと状況を見てくれたらいいわ。
初戦で勝ってくれたらー・・文句なしっ!
ーー・・という私の考えは、恋愛小説の様に甘いらしい。
瞬発力と長身を生かした宮元くんが、背番号13番の人から長い縦パスを見事受け取り、ドリブルでこちらに向かってくる。
それを追いかけているのは、削りで走りにくそうにしている光と元気いっぱいの岸野くんだ。
いや~本当、この三人はいつ見ても別格だね。