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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第2章 可愛いと五月蝿いは紙一重

「歩久保に関してはー・・稼げる時に稼ごう精神でいくのがいいかもしれないね。あの中で伸びる人は、いずれ恵比店に移るだろうし。だから、女の子も下手な子はやめてほしい。あぁいう人達は純粋で"スレてない子"を好むから、なるべくそういったタイプで。」

「今の所恵比店だけ、改善点なしって事だよね?」

「うん。」


「あ、そういえば。芸能人が最近増えてきてるんだけど、どうする?」

「あの人達、口軽いからな~。」


「そうだよね。俺もそう思って悩んでる。」

「若いアイドルとかはやめてほしい。絶対に入れないで。問題起こされたら困るし。入れるなら、ある程度年食ってて、世間体気にしててー・・"自分の思い通りにならない事もある"ってのを理解してそうな人で。」

「わかりました。」




ーー・・ガラガラ。

襖から着物をきた女性が入ってくる。


「お飲み物がラストオーダーになるのですが・・」

「ノンアルコールのカシス1つ。」
「あ、俺ビールで。」

「かしこまりました。」

「あーすみません。」
「はい。」

「今日はママさんはおやすみで?」
「はい、腰をいわしておりましてー・・」

バツが悪そうな顔でそう言われる。
確かにあのママ、結構な年なのにいつも歩き回って重いお料理運んでー・・そりゃ腰もいわすよね。


「お大事に、とお伝えください。」
「ありがとうございます。」


襖が空いていたからか微かに聞こえた滝の様な音。この時間ならお客様も少ないだろうに、それでも経費を気にする事なく、徹底的に"最高級の店"を演じる、此処が大好きだ。

個室で隣の話なんて絶対に聞こえない。
料理もおいしく接客も最高ー・・

そしてなんといってもママだ。

綺麗なのにサバサバしていて、おだて上手。
なぜか本当の娘の様に可愛がってもらっている。感謝しかない。


「あ、」


「はい?」



「ちゃんとお客さんに"好き"って言わせてるよね?」

こんな最高級のお店にも、もしかしたら存在するかもしれない。

「そりゃ勿論。女の子も独自に考えて答えを出していますよ。」

いや、するだろう。


「そこは頼むね。

"店内は自由恋愛"なんだから。」
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