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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第2章 可愛いと五月蝿いは紙一重
「ごめんね、本当に。」
「いいえ、気にしないで。」
重いボストンバッグ四つをトランクに詰め込んで、運転席に座る。
ビールを飲んだから飲酒になるだろう!と当たり前の事を何度も繰り返し、代行が到着するまで結局一緒に待っていた。
「給料日は、変わらず来月の5日です。」
「うん。」
「少し早いけどー・・今月もお疲れさま!来月も頑張ってね、統括。」
「会長も。おつかれさん」
最後まで頭を下げ続ける律儀な統括を横目で見て、私は車を走らせた。今日から5日までが山場だー・・。
各店舗の売り上げと出費を調べて決済書を仕上げる。それが終わったら女の子の給料の計算。それが四つだ。女の子に関しては一店舗に約15人在籍しているから単純に計算しても・・。
「考えるのやめよ。」
いつのまにか関西弁に戻ったみたい。
なぜか、あの店に行くとこっちの言葉で話してしまう。ママも統括も地域統括もこっち出身だからだろうか?関西弁は滅多に出る事はない。
「はぁ。ー・・明日は昼から、ビルの下見とパソコンの設置説明ー・・。」
考えるのを辞めようとしても
違う仕事の事を考えてしまう。
ある意味、休みなんて
セックスしている時しかないんじゃないかな?とまで思えてくるものだ。
時刻は既に五時前。心なしか空も明るくなってきている。
12時に今日と同じ新南待ち合わせだから
遅くても11時半には出なきゃいけない。
ギリギリまで寝たとしてもー・・四時間。
「はぁ。」
と呟きながら、自宅の駐車場に頭から車を停める。少し雑かもしれないけど、しょうがない。こんな時、運転手として蓮君が居れば、変わるんだろうけど。
「今日は一段と遅いですね。」
いつもの警備員さんだ。
この人は夜勤専門なのだろう。
「ほんまにね。すごい眠たいもん。」
「お体、お大事になさってください。」
という瞳がどこか力強い。
「ありがとう。おやすみなさい。」
「ー・・おやすみなさい。」