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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第1章 遊びと本気
ーー・・カランカラン
涼やかな風鈴の音が鳴り、店内の女の子達の目線が一斉に私へ向く。
「いらっしゃいませ」
一番早く、そう声をかけてくれたのは綺麗な白色のドレスを着た25歳くらいの女性だった。お世辞にも美人とは言いにくいが喋り方や表情そのものに愛嬌がある。きっと、この女性がママさんだろう。
「さぁ!こっち!」
店内を見渡すとカウンターで手を大きく振る由香を見つける。
もう半年以上会っていないが特に変わっていない様でどこか安心感が芽生えた。メイクの仕方くらいかな?変わっているのは。服の趣味も髪の色も、手の振り方も、他は何1つ変わっていない。
「久しぶり。」
「えぇ。」
「由香ちゃんの“例の”お友達?」
「そうそう」
「こんばんは、一応小さいラウンジなんですけどママをしています、響子です。」
「はじめまして、小百合です」
「さゆりさんだから、さぁちゃんなの?」
「えぇ、多分そうや思います」
「あら、関西弁を生で聞けて嬉しいわ」
「ちょっと、あんた。
私の事、どこからどこまで言うたんよ?」
「別に」
と悪戯っ子の様な目を向けてくる由香は可愛すぎて怒る気になれない。クールぶってるけど
本当は無邪気な子なのだ。そのギャップが憎めない部分の1つである。
「さぁちゃん、大丈夫ですよ。私達は良い事しか聞いてないですから」
「その良い事いうのが気になって仕方ないですよ。あっ、とりあえず焼酎の芋、水割りお願いします。」
「はい。ありがとうございます」
カウンターの向こうのストックには沢山のお酒が並べられていた。日本酒からワインまで非常に豊富な品揃えだろう。私が大好きなオーパスワンを飲みたい気分だったけど、ここはあえて隼人の事もあり、すぐに酔いが回る様、焼酎にした。