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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第2章 可愛いと五月蝿いは紙一重





ガラスに激しく雨が打ち付けられる。
まだ夕方の五時ジャストだというのに、辺りは暗くなってきていた。

だけど、このAXビルの沢山の光のお陰で
そんなに気持ち悪い暗さとは思わない。

都会だし、仕事終わりのサラリーマンも沢山歩いている。

本日、何本目か分からない煙草に火をつけて窓をあけると雨の臭いが鼻を刺激する。きっと、ほとんどの人が嫌いなー・・慣れない臭いだろう。私も勿論、そう思っている内の一人だ。

話過ぎ、考え過ぎ、煙草吸い過ぎ。
この三拍子が見事に揃ったせいか頭の回転が鈍くなってきているのが自分でもわかった。

それなのに、迎えにくる私ー・・。

強情なのに、流されやすい。
断れない性格。ー・・良いのか、悪いのか。


「はぁ。」


呆れながらため息をついた時、電話を知らせる着信音が流れてきた。



「お疲れさま。」

「お疲れ、もう着いてる?」
「うん。」

「そっか。あのさ、そっちに出て行こうと思ったんだけど、やっぱ芸能レポーターとか怖いからさー・・。駐車場はいってきてくれない?」

「え?わたし入れるの?」


「とりあえず、行って!電話切るなよ。説明するから」

と催促され、アクセルを踏み込んだ。

恐る恐る社員や芸能人用と思われる地下の駐車場の入り口へと車を進めていく。



「機械あるだろ?」

「うん。」


「タッチパネルに一時駐車っていう表示があると思うから、そこタッチして。」


「一時駐車ー・・。はい、できた!」


「で、15855555って入力してみて。」
「イチハチ・・」

「違う!イチゴーハチ!」

「あー、ごめんごめん。・・できたよ!」



「おっけー。で、ガードマンの人に俺の名前伝えて~」

窓から顔をだし、少し大きめの声を出す。


「すみません。美山蓮の迎えに来たんですけども。」

「ハイハイ~番号入力は・・してくれてるね!
ありがとう。はいどうぞ~」


何か機械を見ながら愛想良く先に通される。


「入れたか?」

「なんとかね。」


「じゃあ、B2まで下がってきて。
エレベーターが見えると思うからその近くで待っててくれる?」

「わかったよ。」


「じゃあよろし「蓮~誰と電話してんの?」


ーー・・この声。

ーーー・・あいつだ、響。
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