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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第3章 寂しがりやの法則
とりあえず、おしろいと眉毛、薄いアイラインだけをして、料理の最終段階へと進む。
時計の針は八時ジャスト。
お味噌汁をよそいで、ご飯をいれれば完了だ。
時計を横目で確認しながら寝室へと向かい、しぶとそうな柳沢を起こす。
「朝やで~。」
「ーーー。」
「柳沢!朝やで!!」
「ーーー。」
「飛行機、間に合わへんくなるから、おきて~。」
とボリュームを上げながらペチペチと頬を叩く。軽い昨日のお返しだ。
「・・ー。」
「はい、起きや。」
布団をガバッと持ち上げると、身を縮こませる姿は小学生の男の子みたいだった。
「ー・・あぁ、俺泊まったのか。この家。」
自己解決したのか納得のいった顔で、"おはよう"も言わず、ベッドから降りてリビングへと向かう。
今日の朝御飯は、焼き鮭と胡瓜と若芽の酢揉み
ポテトサラダとあさりのお味噌汁、白ご飯だ。
蓮の時に比べたら豪勢ではないけれど割りと栄養は満点だと思う。前日が焼き肉だっただけに、少しあっさりしたのを意識して作った。
「俺の?」
「勿論。」
音楽をとめてから、ソファーに私も座り込む。
「うまそー。いただきます。」
「どうぞ。」
彼は美味しそうに食べながら、もうすっかり慣れた手つきでテレビを付けた。
全然知らない朝のワイドショーだった。
【昨日のマンチェスタブエノスと、アーセの試合は、3-2でアーセの逆転勝ちでした!】
【まぁ昨日はMCに主要選手が居なかったからね。仕方ない結果だとも言えますけど、この流れを気にせずリーグではまた、白熱した試合を見せて頂きたいですね。】
昨日二人で見ていた時に中継されていた試合だろうか?
朝のテレビでもするってー・・どんだけ注目されてるんだろう。
その時、私ではない携帯が鳴った。
「もしもし?」
「俺10時だよ。ー・・うん。」
仕事の電話か~。仕事、・・私はとりあえず休みだ。今日は家で、計算を終わらせてあとはのんびりしよう。
「うん。ー・・え、いつ?」
「日本には帰ってこれねぇんじゃない?わかんないけど。とりあえずリーグ始まんなきゃ。」
「向こうでの撮影なら大丈夫。こっちは無理だと思うわ」