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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第4章 類は友を呼ぶ
「どうする?もう17時だし、ディナーにでも行く?」
「そうねー・・ドレスコードがあるだろうし着替えましょう。」
"オッケー"と返事をした彼女は、恥ずかし気もなく私の前で服を脱ぎ、有名ブランドのロゴが入ったボストンバッグからタイトな赤と黒が交じったドレスを取り出した。
私は着物だ。基本的に着物で動けば、どこでも上等な席に案内してくれる。これぞVIP待遇というやつだろう。
それが日本のパスポートが信頼されている・・というひとつの理由なのかもしれない。
しかも、なんせ、私の友達は、この美人だー・・。
背は低いけどバランスが凄く良い。
筋肉質だから締まりがあってラインが綺麗だし
顔も勿論。青い瞳に高くて細い鼻
少し分厚めのセクシーな唇はモデルみたいだった。
そんな彼女の隣で、同じ様な服をきてー・・同じ土俵にたつのは気が引ける。それなら、さっきも言った様に私らしさを全面に出した方が良い。
「わ~、その着物に描かれているのは"TSURU"?」
ピアスを付け替える手をとめて、私の着物を興味津々に見ているシャキーラ。
少し奮発してよかったかも。黒ベースに所々金粉がちりばめられてあり、帯から下、つまり足元にかけて二匹の鶴が描かれているこの訪問着はー・・一目惚れだった。
本当に美しい。
「そうよ。」
「凄く綺麗だわ。小百合、あなたはやっぱり日本のモデルになるべきよ。」
「馬鹿やめて、日本の美人の基準と、外国から見た日本美人の基準は違うの」
海外・日本、共通して美人だと言われるのはー・・後藤久美子くらいだろうか。
勿論、私なんて、後藤久美子の足元にも及ばないが。
「何食べようかしら?」
「和食は?着物なんだし。」
「嫌よ~せっかくならフレンチが食べたいわ。
ここに有名なお店、入ってたでしょ?」
「あー、三ツ星のね!えぇ、確かそうだった気がするー・・。一度いってみる?」
「シャキーラはフレンチでいいの?」
「私は何でもいいわよ。小百合が決めて。」
「じゃあー・・フレンチで!」
本日二回目の、軽快な"オッケー"をシャキーラからもらい、私たちはクラッチバックにルームカードを入れ、部屋を後にした。