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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第4章 類は友を呼ぶ
「愛のない行為って楽しいの?」
「楽しいわよ。私は愛してるって囁き続けられたりしたら引くわ。」
「それは心から愛した人に言われた事がないからよ。
キュンッ!どころじゃなくて、嬉しすぎて愛しすぎて胸が苦しくなるの。それが恋愛よ。」
「まるでプロフェッショナルね。」
「えぇ。本なら三冊は書けるわ。」
「暴露本?」
「何いうのよ、違うわ。元カレ達を売りにするほど私は愚かな人間じゃないもの。」
「はは、知ってるわ。」
私たちは、ほぼ同時に最後のワインを飲み干した。
結構語り明かしていたが、なにしろ三本目だ。
ほどほどに酔いが回っているー・・。
すごく気分が良い。
そして、ルームカードで支払いを済ませ、
私たちはSのもう1つ上・・最上階にある会員制ラウンジに向かった。
ふと時計を見た。20時。良い時間だ。
ーー・・会員制ラウンジはパーティー会場の入り口のすぐ近くにある。というか、この階にはフロントとラウンジ・会場・軽い広場、しかない。
エレベーターの前で待機していた二人の警備員にルームカードを見せて、ラウンジのカウンター席に腰かける。
私たちの後ろのソファー席には、英語で会話をしている若い白人男性三人と、黒人男性が一人。
話の内容に聞き耳は立てるつもりはないが、
バーテンダーやウェイトレスの彼達に対しての行動を見る限り、それなりの地位の人達なのかー・・。
「私はカシスオレンジ。」
「あ~じゃあ・・オーパス・ワン。」
「本当に好きね。」
「えぇ、一番愛しているアルコールよ。」
「2010年と2006年がありますが・・。」
「2010年で良いわ。あと、アイスティーのストレートを1つください。」
「かしこまりました。」
「アイスティー?なぜ?」
「酔いが回ったら困るもの。今位がちょうどいいわ。」
「でも一本でしょ?」
「一本なら大丈夫。それ以降はソフトドリンクにするわ
」
「わかったわ。」
ふと周りを見渡す。夜景は見えないものの、シックでとても落ち着く空間だ。
大きなグランドピアノー・・ピアニストが要るのだろうか?
「あのピアノ、気になりますか?」
「ん?ー・・えぇ。」
「ちょうど、この時間ならピアニストの女性が演奏してくれるんですが、今日は風邪で寝込んでいるんです。」
「そうなの。どういった曲を?」