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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第4章 類は友を呼ぶ

軽く息を吸って、両手を鍵盤の上にゆっくりと置く。

二秒ほどカウントを取り、ゆっくりと私はお気に入りのー・・あの曲を演奏しだした。

日本らしさと共に女性の凛とした美しさを醸し出している前奏・・。頭のなかで必死に歌詞を英訳する。ここで日本語で歌ってもアウェーだ。それならー・・頑張って英語で歌って、この歌の本来の良さをわかってもらいたい。

もう一度、深呼吸をして
震えるのを隠す様に少し大きめの声で歌いだした。



♪ Through the rain the sunlight warms my heart
(淡き光立つ俄か雨)

Fragrance sweet,
a memory it calls from afar
(愛しい面影の沈丁花)

Tears of joy flowing deep from my soul
(溢るる涙の蕾から1つ1つ香りはじめる。)

All around,
I can feel new life unfold ♪


そうー・・私の大好きなー・・"春よ、こい"

初っぱなは音を外したかもしれないが
一気に静まりかえったラウンジ内ー・・。

ドアなどは無いため、パーティー会場に入ろうとしている人達からの視線も少し感じる。

だけど負けてられなかった。翻訳も歌唱も演奏もー・・。







ーー・・そしてなんとか踏ん張り、歌い出して五分近く。

綺麗な音で終わった私の弾き語り。
さすがグランドピアノ。私が今まで持っていた普通のピアノとは格が違う。

緊張から解放された喜びからか、手が何故か震だしたが気が付かれない様に深くお辞儀をして、シャキーラの横の席に戻る。

たくさんの拍手と、口笛ー・・。

こんな歓声を受ける事はまぁないだろうから、すごく思い出になるだろう。と冷静に考えていた。

「小百合!あなたすごいわ!」
「ありがとう。あの曲のおかげだわ。」

「それもあるでしょうね。あれは英訳したの?」
「うん、脳内でね。意味わかった?」

「勿論。日本らしい、優雅な例えが英語でも表されていてー・・何ていうか、すごく綺麗だな、と思った。それと同時にどこか儚くてー・・みんなが思っている日本人の女性の心を表してるかのようね。」

シャキーラは頭が良いから、いつも核心を突いてくる。

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