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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第1章 遊びと本気
「すみません、煙草の煙・・大丈夫ですか?」
「どうぞ」
とぶっきらぼうに答える誰かさんを、まるで庇うかの様にしてお友達のもう一人が「気使わなくて大丈夫ですよ、僕も吸うんで」と笑顔で答えてくれた。
こちらの彼は、目がクリクリしていて、彫りが深い。
例えるなら、色っぽいエリートみたいな男と王子様みたいな可愛らしい男だ。
「それは助かります。ありがとう」
「いいえ!」
まるで語尾に音符マークがつきそうなほどの勢いで、そう答えてくれる王子様。
この人が、サッカー選手だろう。
私の中でのサッカー選手のイメージは社交的で明るく、そしてまた軽い男だ。
彼ならなんとなく、そのイメージにフィットする。
「歌いたいの無かった」
「なにそれ」
「さぁ、何か歌えば?」
「いいよ。」
「どっちの意味?」
「遠慮しておく、って事」
「はぁ?じゃあ代行の電話番号教えてあげない」
調べれば分かるだろう、と心の中でツッコミを入れたがそれほどまでに“歌うこと”を強要してくる由香が何故か可愛らしく思えて彼女の目の前にあったデンモクを自分の元へ持ってくる。
ここが由香に甘いといわれる所だろうか?基本的に甘えられると断れない性格なんだと思う。隼人のときもそうだ。呆れてた自分も確かに居たけど、断れなかった自分も存在していた。
「歌う気になった?」
「半分は、しゃーないなぁって気持ちやけどね」
「それでも半年ぶりに、さぁの歌声聴けるなら嬉しいもんよ」