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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第4章 類は友を呼ぶ
少しだけレストルームで化粧直しをし、私達は各自腕を組んで会場の中に入る。
私はハンソンで、マセラはシャキーラだ。
残りの2人はアプローチを受けたいのか、笑いを取りたいのか男同士で腕を組みながら会場に入っていた。
想像以上に大きい会場ー・・。結婚式の平均的な二次会の会場の約3倍はあるだろう。
天井には大きなシャンデリアが6つある。
丸いパーティーテーブルは20個以上あるだろう。来ている人はー・・みんな、仕立ての良いスーツや美しいドレスを着ていた。
何十人も居るであろうホテルマンは、せわしく動いている。飲み物をトレイで運んでも、ものの10分で無くなる様だ。・・・少し異様ともいえるこの雰囲気に圧倒されそうになる。でもー・・自分のプライドが許さない、私はあくまでも“こういう場面”に慣れている、洗練された女性をハンソンのために演じなきゃいけない。
私達がトイレに行っている間に
80万近くの代金を払ってくれてたのだからー・・・・。
結局、彼達には、私もシャキーラも必要以上のことを聞いて干渉する様な真似はしなかったけど。今ここに来て分かった。彼達は、きっと自国を代表するサッカー選手なのだろう。-・・名誉も資産も、持ち合わせているー・・。勝ち組だ。
早速、かわいらしいブロンドガールたちに声をかけられている2人を置いて、私達ペアは前のほうへ進む。どうも、場所が決まってあるみたいだ。
どことなく慣れない視線を感じる。着物のせいか、こういう場所では珍しい東洋人の顔立ちのせいかー・・。
ハンソンにエスコートされ、前から2番目のテーブルに座ろうとしたとき、右側から陽気な声が聞こえてきた。
「フゥ、ハンソン!久しぶりだな」
「ハーイ、ジューン。元気だったか?」
「あぁ。ハンソンは?」
「今のチームにも慣れて結構やりやすいよ。1人か?」
「そうなんだよ。」
「前の、税理士の彼女とは?」
「半年前に別れたっきりさ。」
「はは、それは聞いたらダメだったな」
「いや、大丈夫。それよりー・・この美しい女性は?」
体制を少し低くされ、手を差し出す様に要求される。本日二回目だ、手の甲にキスされるのは。
「僕の友達だよ。今回は女避けのためにパートナーの振りをしてもらってるんだ」
「そうなのか。日本人だろう?」
「えぇ。」