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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第4章 類は友を呼ぶ
「美しい着物だ」
「それはどうもありがとう。貴方もそのネクタイ凄く似合ってるわ」
「本当かい?思い切って着けてきた甲斐があったよ」
「はは、勿論本当よ。最高な判断だったわね」
「おい、ハンソン。彼女と付き合ってないんだろう?」
「あぁ。だけどダメだ。お前の言いたいことは分かる。」
「私は良いわよ」
「ダメだ、小百合!ほら、座って」
「小百合っていうのか・・・。てっきり“おしん”って名前かと思ったけど違うんだな」
「それは完全な独断よ」
と再び冗談をいわれて、今度は本気で笑いそうになった。
「ほら、ジューン。自分の席に戻れ。
もうすぐでスピーチがはじまるぞ」
「あぁ。・・・試合、楽しみにしてるよ」
「こちらも。」
最後に固い握手をかわして、ハンソンは私の隣に座った。
私の横はマセラ、その隣にシャキーラだ。
残り3組は、ぜんぜん知らない人ばかりー・・。
だけど女性は全員、凄く綺麗だった。-・・なるべく気落ちしない様に自分に再び誇り高く持ち直す様に心の中で呼びかけた。
「彼は2年前、一緒のチームでプレーしてたチームメイトなんだ」
「へぇ」
「イギリスでね。今はイタリアに行ったけど」
「契約終了ってやつ?」
「そう。」
「サッカー選手も大変なのね。正社員雇用制度みたいなのがあれば、どれだけ気持ちが救われるか」
「ははは、小百合は本当面白いな」
ホテルマンの男性に渡された、アイスティーを貰って、一口だけ先に飲む。
お酒ばかりで喉が渇いていた。
「今日は本当にありがとう。少し大変だと思うけど、僕に合わせてくれれば大丈夫だから」
「えぇ、頼りにしてるわ、ハンソン!」
「こんなすばらしい女性に頼りにしてもらえるなんて光栄だな」
「馬鹿言わないで」
と言い合っていたとき、室内の電気が消え、広い舞台にスポットライトが当てられた。
「 Ladies and gentlemen
Thank you for coming here all the way.
please enjoy your self today!」
威勢の良い男性の声が、会場に響き渡って私達は拍手をする。
今からスピーチをするであろうおじさんは真っ黒のスーツを着ていて、少し太っていた。スポンサー?もしくは開催責任者?