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「冗談じゃないわよ、一緒にしないで」
第4章 類は友を呼ぶ
ーー・・軽く時計を見る。彼の話にも一応時間制限があったのだろう。きっちり20分ジャストで終わった。
「彼は、リーグ開催に多額の支援をしてくてた会社の現代表さんだよ」
「そうなんだ。確かにそういう感じね」
「そうだろう。」
英語とラテン語で二回同じ放送が行われた。
どうやら、次にスピーチをするのは前回のリーグで最優秀賞を貰った選手らしい。
スポンサーの代表のときとは格段違いに大きい拍手と鳴り響く口笛。
まんざらでも無さそうな顔で、手を振り、マイクを握ったのはー・・・。
「光?」
「知ってるのか?」
見間違える訳がなかった。だって、私の家に泊まった人だもの。
外国人に劣ることなく持ち前の長身と長い足でグレーの艶があるスーツをボタンを閉めずに着こなしていた。ネクタイはしていないけど、中に羽織ってあるセットのベストもよく似合っている。
「 Hey Everyone 」
流暢な英語で、軽く挨拶とお礼をして
今リーグへの意気込みを語っている柳沢光ー・・。
ただものでは無いかもしれない、とは思っていた。
だって、そうじゃなきゃ海外でプレーなんて出来ないもの。
私だって、それくらい分かる。
でもー・・正直、ここまでだとは思ってもいなかったんだ。
このリーグがどれだけ大きいか、なんて分からない。
でも、今着ている人たちを押しのけて、去年の最優秀賞を貰ったわけでしょ・・・?
絶対に“凄い人”じゃないー・・・。
彼の英語の訛りは日本人特有ではなかった。ロシア・・・かな?
なぜ、ロシアなのか分からないけど、でも申し分なんて無い。
これほど綺麗に英語を使いまわし出来ていてー・・難しい単語もスラスラと並べられる彼は間違いなく語学の面でもプロフェッショナルだろう。
「thanks , today Let be happy together!」
幸い、私には気がつかなかったのか目は合わなかった。それが救いだ。
サッカーに詳しくないことを知っているのに
このパーティーに参加していることを知られたらー・・絶対にそこらへんの“ミーハーな女”と思われる。
彼に嫌われるのは別に気にしないが
ミーハーとか馬鹿とか思われるのだけは御免だ。