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第2章 無知な思考

目が覚めた。
無機質な部屋でもなければ、両手を縛っていた枷も外れていた。


ふかふかのベッドの上。
パジャマも着ていた。

何故だか、下着も着けられている。


ぼーっとする頭で、目を擦った。
頬には涙が伝っていた。


ーー嗚呼、夢のせい…？


二度と戻って来ない過去。

だるい身体をゆっくりと動かし、机の引き出しから写真を取り出した。


母と二人きりで写る写真。
まだ、私が幼かった頃の写真。


ーーママに逢いたくなっちゃったよ…


写真を引き出しの中に戻し、窓から空を見上げる。気が付けば、空は青空が広がっていた。


トントンッ


軽快な音が聞こえた。
女か返事をするよりも先に、扉が開いた。


「…起きていたのか
　身体の調子は、どうだ？」


男が入って来た。
手には、パンを乗せた皿とコーヒーが盆に乗せられていた。


「食べれそうか？」


男は優しく声をかけた。
小さなちゃぶ台に盆を乗せて、パンとコーヒーを置いた。

女はそんな男の行動をただジッと、見つめていた。


「まりちゃん？」


男が立ち上がり、女に近づいた。


「泣いてるの？」


男に言われて初めて気づいた。
女の一人からは、涙が頬を伝って流れていた。

女は慌てて、それを拭う。