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浮気断定社
第9章 依頼人 瑠璃
なぜか自然に早足になる。

何がどうなっているのかわからない。

ーーだったら、何で私を助けてくれなかったの?
  何であの男を追い出してくれなかったの? 
  何で父親のしていることを黙認してたの?

瑠璃の両目から涙が溢れて前も見えなくなってきた。

「瑠璃ちゃん、待って」

麗子が追いかけてくる。

瑠璃は麗子を追い払うように早足で歩き続けた。

交差点の赤信号でやっと足を止めた瑠璃の前に1台の車が近づいた。
運転席から出てきた男が瑠璃の腕をつかんだ。

「瑠璃、こんなところに現れるとは
 飛んで火に入る夏の虫だな」

瑠璃の父親だった。

瑠璃はハッとしてその腕を振り払おうとした。

「さあ、帰るぞ」

父親が振り向いて車に乗せようとしたとき

「そうはいかないわよ」
 
追い付いた麗子が父親に向かって言う。

「弁護士さんか...
 悪いが娘は返してもらうよ」

そう言って車のドアを開けると運転席には見知らぬ人間が。
 
「誰だお前?」

「瑠璃は渡さないわよ」

「ベティさん!」

瑠璃は目を輝かせて叫んだ。

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