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浮気断定社
第9章 依頼人 瑠璃
クルリと振り向いた佐伯は

「前言撤回
 
 綾瀬、友達じゃなく

 俺とつきあって」

佐伯の真剣な眼差しが瑠璃を射抜く。

瑠璃の頭に昨日の洋ちゃんの言葉が...

『明日佐伯ってヤツから告白される。
 難しいことは考えずに付き合ってみろ』

あ!!
なんで気付かなかったんだろう...

返事のない瑠璃に佐伯が迫る。

「ダメ?」

瑠璃は慌てて頭を振る

「ダメ...じゃないけど
 私、まだ佐伯くんのこと知らないから...」

佐伯がフッと笑った。

「じゃあ、ゆっくり知ってよ。

 そして俺のこと好きになって」

佐伯が優しく微笑む。

「それでいいの?」

「うん。
 大丈夫 
 俺が綾瀬を好きだから。
 きっと綾瀬も俺のこと好きになってくれる」

「なんでそんなこと分かるの?」

「だってさっき綾瀬も凄いドキドキしてくれてたから」

と顔を近づけてくる。

ドキンと心臓が跳ね顔が赤く染まる。

「あのね、佐伯くん...
 この辺がキュンとしてドキドキしている」

瑠璃は自分のみぞおち辺りを指差した。

一瞬目を見開いた佐伯はギュッと瑠璃を抱き締めた。

「綾瀬、可愛すぎ」

二人の鼓動が音をたてて重なる。

「ねえ、俺とつきあって」

頭上から降ってくる甘い声に
瑠璃は佐伯の胸のなかで頷いた。

佐伯はさらに力を込めて抱き締めた。

「瑠璃 好きだよ」

抱き締め返す瑠璃の瞼に
洋輔のニヤリと笑う顔が映りこむ。

ーーありがとう、探偵さん。




【完】


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