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浮気断定社
第9章 依頼人 瑠璃
30分ほどその状態で電車に揺られていた。
込み合う電車で会話もできない。
壊れてしまうんじゃないかと思うほど鼓動を打つ二人の緊張だけが続いていた。

最寄り駅で佐伯の手が瑠璃の手を掴んだ。
あまり降りる人のいないこの駅は無理矢理進まないと降りられない。

佐伯に引っ張られるようにホームに降り立つ。
そんな二人を同じ制服を着た人たちが何人も見ていた。

ホームに出てホッと息を吐きながら佐伯を見上げた。

「なんか...ごめん」

佐伯は恥ずかしそうに呟いた。

「ううん。庇ってくれてありがとう」

瑠璃も小さく返事する。
急に恥ずかしさが込み上げてくる。

「あ...やっぱりダメだ」

佐伯が独り言のように呟いた。

瑠璃は不思議そうに佐伯を見つめる。

佐伯は瑠璃の手をとって人の流れと反対の方にズンズンと歩き出した。

「佐伯くん、学校...」

瑠璃の声は佐伯に届いていないのか
階段の裏手の影へ歩いていく。

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