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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
大きな鍔の帽子を被り
大きなサングラスをして
白い手袋をした
おおよそ不似合いな女が
この時代から取り残された扉を開く。
「ごきげんよう」
口許を歪めながらも涼しげな顔で重い扉を開けた女は中の人間に向かってそう言った。
ねずみ色のギイギイと鳴る椅子に寄りかかり
机に足を投げ出して競馬新聞に見いる洋輔が
チラリと女を見た。
洋輔は小さく舌を打つ。
「慰謝料請求なら扉が違うぜ」
そしてまた競馬新聞に目を落とした。
「いえ、今日は浮気調査の依頼ですの。
お久しぶりね、香川弁護士」
女は余裕の微笑みを向ける。
「香川弁護士?
知らねーな。
ここは、探偵屋だよ。
あんたのような奥さんが来るとこじゃねえ。
帰んな」
洋輔は女の顔も見ずに言う。
大きなサングラスをして
白い手袋をした
おおよそ不似合いな女が
この時代から取り残された扉を開く。
「ごきげんよう」
口許を歪めながらも涼しげな顔で重い扉を開けた女は中の人間に向かってそう言った。
ねずみ色のギイギイと鳴る椅子に寄りかかり
机に足を投げ出して競馬新聞に見いる洋輔が
チラリと女を見た。
洋輔は小さく舌を打つ。
「慰謝料請求なら扉が違うぜ」
そしてまた競馬新聞に目を落とした。
「いえ、今日は浮気調査の依頼ですの。
お久しぶりね、香川弁護士」
女は余裕の微笑みを向ける。
「香川弁護士?
知らねーな。
ここは、探偵屋だよ。
あんたのような奥さんが来るとこじゃねえ。
帰んな」
洋輔は女の顔も見ずに言う。