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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
 俺は数ヵ月ぶりにスーツに袖を通した。

 数ヵ月ぶりにエンジンをかけたアルファロメオも機嫌は悪くない。

 窓を開け都会の街を颯爽と駆け抜けていく。

 悪くない

 そう思った。

 上条弁護士事務所に車を付ける。

 金がないとは言いつつも決して小さな事務所ではない。

 俺が受付で上条弁護士に面会を求めると
 出てきたのは目を見張る美人のまだキラキラとした若さが溢れる

 麗子だった。

 「香川弁護士ね。
  父から話は聞いています。

  シェルターの立ち上げにお手伝いくださるって。

  人手が足りなくて困ってたの。

  本当に助かります。

  早速案内しますね」

 いきなり手を引かれて外に連れ出される。

 金は出すと言ったが

 手を貸すとは言っていない。

 ったく、タヌキ親父にまんまと騙されたか...

 でも俺の手を引いて歩く麗子の後ろ姿に...


 悪くない


 
 そう思った







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