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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
「一乗寺家へ行ってちょうだい」
「一乗寺家でございますか?」
運転手が聞き返した。
「そうよ。何度も言わせないで」
「かしこまりました」
運転手はそれ以上は聞かずに行き先を変えた。
「ただの浮気だと甘く見ていたようね。
あの女!許さない。
どいつもこいつも、どうしてあんな卑しい女がいいのよ!」
美樹は唇を噛んで怒りを露わにしていた。
都会のど真ん中、周りは官庁街の一角に森に囲まれ高台にそびえたつ屋敷。
曲がりくねる道を上り大きな門の前で車は停車させられる。
警備員が運転手の顔を覗き込む。
「六条 美樹さまです」
「六条...」
警備員は軽く鼻で笑ったような気がした。
美樹はこの家が大嫌いだった。
血縁者のはずなのにただの愛人扱いで敬意のかけらもない。
「お約束ですかな?」
警備員は美樹に向かって聞く。
「約束はしてませんの。
急ぎ当主にお知らせしたいことがございまして」
美樹はにこやかに答えた。
「そうですか...」
警備員が内線で邸内に確認を取っている。
頷いて受話器を置くと
「六条さん、いま当主は外出されております。
改めてお約束をされてからいらしてください」
「でも、急ぎの用ですの」
「では尚更、お約束を」
そういって警備員は定位置に戻っていった。
「一乗寺家でございますか?」
運転手が聞き返した。
「そうよ。何度も言わせないで」
「かしこまりました」
運転手はそれ以上は聞かずに行き先を変えた。
「ただの浮気だと甘く見ていたようね。
あの女!許さない。
どいつもこいつも、どうしてあんな卑しい女がいいのよ!」
美樹は唇を噛んで怒りを露わにしていた。
都会のど真ん中、周りは官庁街の一角に森に囲まれ高台にそびえたつ屋敷。
曲がりくねる道を上り大きな門の前で車は停車させられる。
警備員が運転手の顔を覗き込む。
「六条 美樹さまです」
「六条...」
警備員は軽く鼻で笑ったような気がした。
美樹はこの家が大嫌いだった。
血縁者のはずなのにただの愛人扱いで敬意のかけらもない。
「お約束ですかな?」
警備員は美樹に向かって聞く。
「約束はしてませんの。
急ぎ当主にお知らせしたいことがございまして」
美樹はにこやかに答えた。
「そうですか...」
警備員が内線で邸内に確認を取っている。
頷いて受話器を置くと
「六条さん、いま当主は外出されております。
改めてお約束をされてからいらしてください」
「でも、急ぎの用ですの」
「では尚更、お約束を」
そういって警備員は定位置に戻っていった。