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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
「やはり美樹が動き出したか」

「はい。常務の秘書から瑠璃さんを当主に渡す話を聞いていました」

「時間がないな」

「早めに手を打った方がよさそうですね」

古びた探偵事務所の中では洋輔と助手がひそやかに話をしていた。


「こんにちは」

重い扉を押し開け入ってきたのは飯田だった。

「おー!主任。待ってたよ」

「主任ってなんすか?

 会社以外でそんな風に呼ばれたくないんですが」

「い~じゃねーかよ。あんた主任って感じだもん」

「なんか馬鹿にしてません?」

飯田はふてくされた顔を向けた。

「入社5年で主任なら大したもんだろ」

洋輔はご機嫌だ。

「まあ座れよ」

洋輔は自分の隣に飯田を誘った。

いつの間に立ち上がっていたのか助手が飯田の前にお茶を出した。

「ありがとうございます。

 昨日会社でお会いしましたよね?」

飯田は助手を見たが

「気のせいです」

助手はそっけなく答えただけだった。

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