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甘い香
第1章 プロローグ

今日も手伝いで入り客を見送った後、隣のビルにあるホストクラブから出て来た先生と鉢合わせたのだ。

先生も客ではなく
何故か、見送る側のようで…

蛇に睨まれたカエルの如く、固まっていたら先生が物凄い勢いで近付き腕を掴まれ今に至るのだ。

どうしてキスされているのかは
分からない。

全部がいきなり過ぎて、理解の範疇を超えている。

先生は髪を掻き分け、うなじに唇を這わす。
こんなこと、バレたくないのに先生はなかなか俺を解放してくれない。


「……お前、良い香がするな。もっと、欲しくなる」


「えっ……ダメ、あぁっ!」


キス、キス、キス。

キスの嵐ってこういうのか…なんて呑気なことを思ってしまったが、先生のキスは多分上手いのだろう。

比べられる経験はないが、俺の足に力が入らなくなってきているのはそういうことじゃないかと思う。だって、気持ちが良いから。

そんな状態を早くも察知した先生は、スカートの中に手を忍ばせてきた。

さすがに、それはマズイでしょ!


「ダメーッ!!ごめんなさいっ!」


先生を突き飛ばし、震える足を無理矢理動かしその場を去った。

今までにないぐらい、心臓がバクバクと動いてる。飛び出してきそうだ。

……こんなの
明日からどうすればいいんだっ!?


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