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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第2章 蓮野に降る雪
 更に進んでゆくと、民家らしいものは一切見られなくなり、人の姿どころか犬猫の類すら見かけることはなくなった。道も整備された平坦な比較的幅のあるものから、荷車一台がやっと通り抜けられるほどの細くて荒々しい砂利道になる。
 都を出た頃になって、トンジュは漸くサヨンの手を放した。サヨンは無意識の中に握りしめられていた手首をさすった。トンジュに判らないようにそっとチョゴリの袖を捲ると、細い手首にはうっすらと紅い輪が浮かび上がっている。
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