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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第3章 幻の村
「や、止めて」
 トンジュが愕いたようにサヨンを見た。
「お願いだから、許して」
 サヨンは同じ台詞を繰り返しながら首を振り続けた。
 トンジュが吐息をついた。
「もう何もしやしませんよ。俺だって鬼畜じゃない。怪我人相手に無理強いはしませんから、安心して下さい」
 幾ら優しく言い聞かせても、サヨンは怯え泣きじゃくるばかりだ。
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