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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第3章 幻の村
 トンジュはしばらく思案する様子を見せていたが、携帯していた袋を開き、予備の敷物を取り出した。
「布団なんてありませんから、とりあえず、これで我慢して下さいね」
 サヨンの身体に敷物を巻き付け、幾重にもくるんでから、身体ごと膝の上に抱え上げた。丁度、サヨンの背中がトンジュの胸に当たる格好だ。
 そこで、サヨンの意識が一瞬、飛んだ。
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