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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第3章 幻の村
 その頃、トンジュは既に十歳になっており、屋敷に来たときに比べれば身の丈は幾分伸びていた。もう、三年前に泣いていた幼い男の子の面影はなくなっていた。とはいっても、まだ、その頃はサヨンよりもほんの少しは背が低かったのだ。
 ゆえに、厳密にいえば、サヨンがトンジュを知っているのは十歳以降の彼だ。だからこそ、サヨンもあのときの泣いていた子どもがトンジュだとは気づかなかった。
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