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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第3章 幻の村
 まるで駄々をこねる妹を宥める兄の口調そのものである。
「山を下りるの?」
 サヨンは眼を丸くした。
「はい、そろそろ一度町に出て、纏まった食糧やら衣糧やらを買い足しておかないとなりませんから。まだやっと二月の終わりです。寒さはこれからも長い間、続きますよ」
 トンジュが話している間に、サヨンも食べ終えた。慌てて自分の器と木匙を持ち、立ち上がる。
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