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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第5章 彷徨(さまよ)う二つの心
 サヨンはしばらくトンジュの無防備な寝顔を見ていたが、やがて、そろそろと立ち上がり、布団から出た。どうも昨夜はあの出来事があった後、トンジュが布団を敷いてサヨンを寝かせたらしい。あのときには布団などなかったのだから、トンジュが敷いたのだろう。
 あの後、サヨンは深い眠りに落ちてしまい、後のことはよく憶えていない。着ていた衣服はトンジュにすべて脱がされてしまったはずだが、今はちゃんと夜着を纏っていた。これもトンジュが着せつけたのだろうか。
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