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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第5章 彷徨(さまよ)う二つの心
絹の服を纏い、ご馳走を食べ、することといえば女性としての教養を身につけるための稽古事くらいだった。それが、かつてのサヨンの人生のすべてであったのだ。
しかし、トンジュがサヨンを屋敷から連れ出したことによって、サヨンの人生は劇的に変わった。今、サヨンは三度の食事から洗濯、掃除と十九歳になるまで一度もやったことのなかった家事をしている。トンジュの稼ぎでは絹など着せてやれないし、ここに来てからというもの、簪一つ買ったのが精一杯だった。
しかし、トンジュがサヨンを屋敷から連れ出したことによって、サヨンの人生は劇的に変わった。今、サヨンは三度の食事から洗濯、掃除と十九歳になるまで一度もやったことのなかった家事をしている。トンジュの稼ぎでは絹など着せてやれないし、ここに来てからというもの、簪一つ買ったのが精一杯だった。