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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第5章 彷徨(さまよ)う二つの心
「なにゆえだ?」
 異口同音に問うた仲間たちに、若者はいかにも好色そうな分厚い唇を舐めた。まるでご馳走を前にしている驢馬のような面相である。
「俺たちが好きにしても、後腐れがないだろうということさ」
 そこで、三人の男たちは好き者めいた顔を見合わせ頷き合った。
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