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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第5章 彷徨(さまよ)う二つの心
「儲け話があるんです」
 サヨンは密談の内容や義承大君の名は一切出さず、ただ三日後の早朝までに草鞋をできるだけたくさん手に入れたいのだと伝え、もし、依頼主の望みどおりになったら、大金が支払われることになるだろうと言い添えた。
「できるだけたくさんと言ったってねえ」
 四十ほどの主人は大あくびしながら頭をかいた。
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