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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第6章 運命を賭ける瞬間(とき)
 でっぷりと肥えた店の主人は、サヨンを待っていたように出迎えた。
「草鞋の方は用意してあるぞ」
 奥の倉庫に連れてゆかれた二人は、息を呑んだ。眼前には、草鞋の山が築かれている。何百足どころか、何千足とあるに違いない。
 この間の主人の〝漢陽中の人間が履けるくらいの数〟というのは満更、嘘ではなかったのだ。
「こんなに?」
 サヨンは草鞋の山に圧倒されながら言った。
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