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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第6章 運命を賭ける瞬間(とき)
 主人は肉に埋もれた細い眼を更に細めた。
「良いさ、これは儂がよくよく考えて決めたことだ。たとえ取り分がなくなっちまったからといって、お前さんらに文句は言わない」
 サヨンは控えめに問うた。
「何故、私たちにそこまでして下さるのですか? 商人は儲けられる見込みがない商売はしないものなのに」
 主人が笑顔で首を振った。
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