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とあるオクサマのニチジョウ
第14章 Scene.04
 
 位置的には、見上げればカウンターの下が覗けるような場所。

 待ち合わせでもしているような感じにも取れる。

 如何せん、頭頂部しか見えていないだけに、恭子は想像を膨らませるしかなかった。

 無意識に脚を組み替えた恭子。

 ピクッとカウンターの縁から見える頭頂部が動く。

「んん?」

 更に脚を組み替える。

 やはりピクッと動く頭頂部。

 カウンターに遮られて分からないものの、何処と無く見上げているような気配。

「……………まさか…ね」

 座れば、Tシャツの裾は脚の付け根よりも長く、擦り上がった巻きスカートの裾はTシャツの裾よりも僅かに太腿を隠す。

 形も肉付きも良い生足の太腿が、大半以上露わになっている。

 頬杖を着きながら意識をカウンターの下へと向け、意識して脚を大袈裟に組み替える。

 ピクッと動いた頭頂部が静止していた。


…確か…今日はぁ………


 正行との熱い日々の名残である、紫のTフロントショーツを穿いていた。

 殆どが紐で形成され、唯一の生地である股布は透ける、男の肉欲を充分に煽る物。

 普段から狭小の下着を着けては、時間が僅かでもあれば体を重ねていた新婚時代。


…何の気無しに穿いてたけど………
…あの時から既に…あの若い娘と………


 軽く頭を振り、気持ちが沈んできたのを追い払う。

 視覚に意識を戻せば、依然として頭頂部が覗けていた。
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