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とあるオクサマのニチジョウ
第3章 働くオクサマ
 
「…ふぅ……さっぱりぃ」

 杏子が自室である隣の住戸へと戻り、汗に塗れた体をシャワーで洗い流した恭子。

 依然として、カーテンを開け放った儘のリビングに、首にタオルを掛けただけの全裸でソファーに座っていた。

「…はぁーあ………」

 汗を流した事で気分がすっきりしたのも束の間、テーブルに乗った料理が視界に飛び込むと溜め息が洩れる。

 杏子とレズ行為をしたところで、その場凌ぎでしかなかった。

 久しぶりの夫との営みを期待していただけに、無機質なオモチャで得た快楽に虚しさを覚える。

「オモチャも悪くないけどぉ……。やっぱり……ねぇ………はぁ………」

 幾度目かの溜め息がプルンとしたピンク色の唇の間から溢れる。

「…あっ」

 料理を眺めていると、テーブル越しに時計が視界に飛び込んだ。

 表示されている時間に恭子は思わず声を洩らし、撓わな胸をブルンッと弾ませる程に勢いよく立ち上がった。

「時間時間ーっ」

 パタパタと部屋に駆け込む恭子。

 夫が帰ってくる事に浮かれ、仕事の事をすっかり忘れていた。

「……お仕事だったら……元々…イチャイチャ出来なかったんじゃぁ………」

 スポッとTシャツを頭から被って呟いた恭子。

 その表情は暗いものとなっていた。


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