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とあるオクサマのニチジョウ
第2章 来訪者とオクサマ
ピンポンと軽やかな音が部屋に響く。
その音に、ムクッと頭を持ち上げた恭子。
「…むぅ?」
まだ意識がはっきりしない中で、何度も鳴り響くチャイム。
「……むむぅ………」
その音でボーッとしながらも、ベッドの上で上体を起こして部屋を見回す。
不意に視界に飛び込んだ時計は、ベッドに飛び込んでから僅かな時間しか経っていない事を現していた。
「…もぉ……なぁにぃ?」
寝入りばなに起こされて、いつも以上に緩い口調で不満を洩らす。
それでも執拗に鳴らされるチャイム。
「分かった……分かったからぁ…ふぁ………」
鳴り止まない音に欠伸混じりでベッドから下り、ペタペタと裸足で玄関へと向かう恭子。
「んむぅ………」
その間も鳴り続けるチャイムの音に、混濁した意識の儘で不満に唇を尖らす。
「もぉ……出るからぁ………」
片足だけを玄関の叩きに乗せ、上体と腕を伸ばしてチェーンと鍵を外す。
「はいはい……どちらさまですかぁ………」
寝惚けた意識の中、恭子はゆっくりと扉を開けたのだった。
「あっ。えっと…宅配…便……です………」
開けた扉の隙間から、明るい声と共に、爽やかな表情を見せる若い男の顔が覗いた。
しかし、その爽やかな表情も一瞬で目を丸くして強張ったものへとなった。