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第5章 『過去』の旅生と

人の性格、知識は殆どと言って良いほど
生まれた後の生活によって
構成されると私は思っている

日々の生活の中で迫られる
大小の選択
抗えない運命めいたもの
その一つ一つが『私』を作る

小学生の頃
母は死んだ
その理由は病気と言う事
それ以外は幼すぎる私には解らない

父の愛する母が死んだ
母に似る私と父に似る兄
そして心を欠いた父が広い屋敷に残された

母は滑剤のような存在だったのだと
いなくなってから私は知った