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第5章 『過去』の旅生と

母がいなくなり
昔よりも極端に広く感じる我が家
愛する人を失った父の悲しみが渦巻いていた

ある日
父は私を父の部屋に呼んだ
母が亡くなって半月ほど経った頃だ

父は私を抱き締め長い時間身体を撫でた

そこに不快さは全くなく
むしろ父の悲しみを埋めているのだと言う
使命感すら生まれていた

その日から
毎日と言って良いほど
父は私を抱き締め泣いた

そんな父の頭を優しく撫でるのが
私の日課であり
私を構成するものの一部になった