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くちなし
第4章 迷
「あっ…ん…悠…もっと…。」
「ん…雅っ…っ…!そんなに…締めるな…っ!
 僕ももたない…っ…!」

指と指を絡ませ、熱を持った視線が絡まるたび胸が高鳴る。
私の身体でこんなにも反応している悠を見ると、私の方が熱くなってくる。
同時に得体のしれない感情が湧き上がる。
なんだろう…この気持ちは…?
悠は、私の香りを求めているのか?
他の人は?私の香りに惑わされているだけ?

「雅…?…何を考えているんだい…?」
「悠…私の香りは…っ!…こんなに異性を惑わすの…?」
「そうだね…そうかもしれない…っ。」
「悠も…惑わしている…?」
「クスクス…そんなことないよ。僕は君の香りだけで惑わされてはいないよ。」

ーぐちゅ!!ー

「っあ!んんっ!」
深く突き上げられると、悠しか考えられなくなる。

「そう…っ今は、僕だけ…考えてて欲しいっ!…く!」

激しさを増し、快感しか味わえない。
歪む顔と、私の気持ち。

「あっ!ん!悠…い…く…!!あぁん!」
「僕も…だ…っく!!」

熱い悠のものが私の中へ注がれるのが、ゴム越しにわかる。

「はぁ…っ!悠…抱きしめて…。」
「ん…。雅。愛してる。安心しておくれ。今だけ…。」
悠の声が震えているようにも聞こえた。

やはり、わからない。
昴や善に高鳴る胸も、悠に感じる思いも全て一緒のように感じてしまう。
私を受け入れて、求めてくれる人だからなのか。
私は、今後どんな道へ迷い込んでいくのだろう。
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