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第7章 嘘

お嬢様と関係を持って、あの屋敷を出て行って数ヶ月。
京都でまさか再開するなんて。

彼女の押しの強さには、驚いてまう。
また、彼女を傷つけたんだろう。
会いたくなかった。
仕事の邪魔だと…。
早く、彼女が俺のことを嫌いになって欲しい。
そうすれば…早くも忘れられるのに。

大和という店に来るように言ったが、本当は行くべきではない。充分わかっているはずなのに。
足は、その店に向かっている。

少しでも会いたいと思ってしまうのだ。


「くろ…えっと…花巻さん！」

彼女がやってきた。

「さぁ。どうぞ？中へ。」

「花巻さん…。私…。寂しい。あなたが居なくなってから、自分が自分じゃないみたいで…。あなたの思い出ばかり、探して…。屋敷にいることも…辛くなる…。」

「お嬢様…。いえ…雅さん。それは…。私が深く関わりすぎたせいです。会えないと分かれば、二度と思い出すことはありません。」

「けど！またこうして、再開できた…！」

そんなに、瞳に涙を溜めて話さないでくれ…。
しまった気持ちが出てきてしまいそうだ。

「私…黒田が…好き…。好きで…忘れられなくて…忘れようとして…違う人のこと見ても…黒田以上の人はいなくて…っ…苦しい…っ。」

ーグイっ！ー

俺はとっさに彼女を抱きしめていた。
こんなに弱くて…小さかっただろうか…。
この香りは、変わっていない。
俺が育てた花と雅を重ねていた。大切に大切に…してきた花を…俺は、一瞬で壊し…今も治らない。

「雅…っ。好きだった。私も、あなたを好きでした…。
　しかし…それは…。」

「過去のことみたいに言わないで…！！すごく…悲しい…から…。お願い…私のこと…もう一度…好きって…言ってよ…。」

「それは…出来ません。」

泣きじゃくる彼女を腕の中で抱きしめることが、精一杯だった。