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くちなし
第8章 代
優しいキスは、雅の何かを深く根強くしていく。

「悠…。また…しちゃったね…?」

「クスクス…後ろめたい気持ちかい?」

「ん…なんか、不思議な気持ちなの。」

「…そうだね。僕もだよ。ずっと…僕は手に入れたかった人だから…壊れそうでいつもセーブしてしまう。
 僕は、誰かの代わりでもいい。求めてくれればね?」

悠は、自傷ぎみな発言をする。
それに雅の心は動く。

「お兄様は…辛くないの…?」

「ん。辛くないよっていったら嘘になるかな?
 けど、雅の幸せを願ってるから…。平気だよ。」

どこか、いつも自分を押し殺している悠を不思議に思ったことがあった。

「…私たち…兄弟だもんね…。
 私もお兄様には幸せになって欲しい。」

「クスクス…雅以上の女の人かい?
 難しいかもしれないね…クスクス」

ーちゅっー

「…ん。」

「…っ。…雅。好きだよ。いつかこの関係を終わらせる時には…約束しよう。必ず幸せになるって…ね?」

「……。」

雅は、首を縦にふる。

兄弟での別荘旅行が始まっていった。

夜には、簡単な食事が並び、二人で気ままに過ごす。
寝るのも起きるのも好きな時間に。
二人は、自然に身体を重ね、深めていく。



ーギシッー

「悠っ!…もう…イケない!!」

身体中が痙攣してしまうくらい、極限状態だ。

「クスクス…かわいい。このくらいで、終わっちゃうの?
 まだまだだね?………もっとかわいい声も顔も見せて?
 今だけ僕のものだよ。雅。」

「っああっ!!だめっ!あっ!んんーっ!!」
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