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目が覚めたら。
第5章 変態王子が暴走しました。
「おはよう、佐伯くん」
「ナツさま、おはようございます」
「ナッち、今日合コンしねぇ?」
まぁ、ナツは声をかけられること、かけられること。
このスペックだ、老若男女問わず人気者なんだろう。
ハル兄はひとを選ぶが、ナツは温和で柔和でにこにこしているから、万人受けするのかもしれない。……変態さを見せなければ。
そう思っていたのに、ナツは彼らににこりとも愛想をしない。それどころか不機嫌そうで、愛想とは無縁なハル兄を少し彷彿させた。
ナツはあたしやハル兄と一緒に居る時は、顔が緩んでいるかのようにふにゃふにゃ笑っているか、誘うように微笑むかのどちらかだから、新鮮な驚きだった。
「しーちゃん、教務課いこ?」
やはりあたしには、にこにこ王子様スマイル見せる。
……はて?
教務課のお姉さんにもナツは冷ややかにも思えるほどに、無表情だ。
お姉さんの色目にも動じず、逆に蔑んでいるようにも思える。
なんだか手続きがあるらしい。書類に書き込んでいるナツ。時間がかかりそうなのを見計らって、あたしはこっそり教務課を出ると、さっきナツに声をかけていた学生の元に赴き、声をかけた。
「ねぇ、ナツの友達?」
明らかに、女達からは敵視。
男達からは……なんだろう、興味を持ってくれたのかなんなのか、やけにその目が爛々と輝きだした。
彼らは一同に友達だと言う。
「ナツって、いつもどんな感じなの?」
あたしの精神は17歳で停まったままだから、実際は年上の方々にタメ口をきいている状態。17歳視点からは大学生は高校生とは別次元にいる大人。
喧嘩売っているような態度に内心ドキドキする小心者のあたしは、"あたしはアラサー"と呪文のように心で唱えながら、同年代を装い極力フレンドリーに接してみた。