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目が覚めたら。
第5章 変態王子が暴走しました。
「笑わない」
「群れない」
「なにも関心ももたない」
皆が口揃える。
それだけ聞くと、ナツはブラックリスト以外に困ったちゃん要素満載なのかもしれなかったが――。
「正直話しにくいけど、女達がアイツを連れて欲しいとせがむから」
「無駄に顔だけはいいし」
「だって、有名ブランドのモデルだしっ!!」
「雑誌にも紹介されてたし」
むかむかむか。
なんだこいつら、男も女も。
ナツの表面だけに群がっているのか。
ナツと友達になるのは、ブランドとでも思っているのか。
……それで友達だと言うのか。
「ねぇ、あんた……可愛いよね。アイツの彼女? ちょっと俺と遊ばない、あいつに内緒で」
「いいねぇ、俺もまぜてまぜて?」
友達の彼女(本当は違うけれど)と、友達に黙って勝手に遊ぼうとするか?
しかも下心見え見え、なによそのチャラ男の気持ち悪い流し目。
あたしはハイスペックの流し目を見てきてるんだ、そんなの効かんわ。
「そんなわけないじゃん、不細工だもの。ナツさまはもっと自分に見合う美女を選ぶわよ。たとえば……高校時代ミスコン優勝者である私みたいな?」
「彼と歩けたら、絶対格が上がるわよね」
むかむかを通り越して、怒りが突き抜けた。
「黙れ、このすっとこどっこいっ!!」
あたしは傍にある長椅子をひっくり返した。
しーん。
静まり返った中、あたしは叫ぶ。
「ナツを道具にすんじゃねぇよっ!! あんな顔させてなにが友達だ、あんたらナツの顔以外に向けられる目がないのかっ!! 腐ってるのか!!」
一同は怯えている。
そうだろう、目を据わらせたあたしは、横倒しにした椅子の上に片足を乗せて啖呵を切っている。完全に女は捨てた。
こういう時、ハル兄のオラオラが役に立つ。