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目が覚めたら。
第5章 変態王子が暴走しました。
 


「友達というのなら、外観以外にナツのいいところ言ってみろ、右から……そのA! そうそこのナンパ野郎……お前からだっ!!」


「ええと……ええと……頭がいい……?」


「同じ大学入ってるくせに、なんだその頭の悪そうな疑問系は。お前もう一回中学からやり直せ!! 次、そのB!! そこのぶりぶりしたミスコン残念お嬢様っ!!」


「なっ……」


「ナツから美貌と頭のよさとったら、なにが残るっ!!」


「……え?」


「……はい、10秒アウト。10秒でも思いつかないのかっ! 次、そのC! ナツがいがぐり頭のハナタレクソデブだったらどうする!?」

「そ、そんなの想像つかねぇし……。そんなだったら……」


 そして全員が雁首揃えて、「ねぇ……?」とあたしに同意を求める。

 つまり、全員が全員、ナツには美貌しか取り柄がないと思っている。


 悔しいな、悔しい。

 こんなに人数がいて、本当のナツを誰も見ていないのか。
 

「どんなナツでもナツなんだよっ!! だからあたしは、昔からアイツを完全に追い払えないんだ。ナツはどんな姿でも、どんな変態ストーカーでも、寂しがり屋の甘えたがりで優しくて可愛いんだよっ!! 思い知りやがれっ!!」


 んがあああああ!!


 椅子を再度持ち上げようとしたとき、あたしの手からひょいと軽々しく椅子を奪い、ちゃんとした位置に直したのは……。


「誰!?」


 見知らぬインテリ美男子。


 さらりとした黒髪。

 黒縁眼鏡姿の……これまた理知的美貌の男性登場。

 白いシャツにジーパン。正統派の優等生だ。
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