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目が覚めたら。
第5章 変態王子が暴走しました。
うふふとナツは笑い、手にしていた何かを口に入れた。
なにかを嬉しそうに舐めている。
「キスの前のエチケット。……だってこれから、たっぷりキスするんだからね、僕としーちゃん」
扇情的に唇を舐めたナツは、嬉しそうに笑う。
そして――。
「あのセンセを長生きさせようね」
ナツは、大きな教科書をたてて防護壁にすると、あたしの頭に置いた手で髪をまさぐるように優しく撫で、ナツと同じ高さまで下げさせた。
そして――。
あたしに向ける顔から、ふっと笑みを消した。
途端に変わる、艶めいたオトコの表情。
この子はスイッチが入ると、表情がオスの艶めきを放つ。
思わず見惚れてしまったあたしは動くことが出来ない。
それをわかっているように、ナツの口元がゆっくり弧を描く。
こんなことイケナイとわかっているのに、ナツの色気を拒みきれないのは、この色気に包まれたいと思ってしまうのは、メスの性なんだろうか。
「静流……」
ああ、なんでその顔で呼び捨てするの?
どきんと脈打つ鼓動。
心臓を丸ごと鷲づかみにされたような衝撃に、引き攣った息があがる。
「まず、開始の……合図」
ナツはあたしの後頭部を弄るようにしてゆっくりと引き寄せ……口づけてくる。目の前でナツの目が伏せられ、その長い睫毛があたしの顔を微かに掠った。
唇が触れた時、びりびりとした感電めいたものを感じて小さく息を乱してしまったのは、背徳めいた環境にあたし……昂奮しているのかもしれない。
「んっ……」
ナツもまたそうなのだろう。
鼻から漏れる甘ったるい声。何度も何度も角度を変えてキスをしてくれば、触れる唇が湿った音を立て始めた。
ミルクティー色の髪がさわさわと、開いた本を掠める。